待花|卜深庵  


待花

梅雨もようやく明け、祇園祭の先祭りも無事に終えられ、庭の桜の蝉時雨が夏の風情を増しています。まさに夏本番の季節を迎えます。

 去る5月30日に理事会、引き続き評議員会が開催されました。両会におきまして、昨年度、平成27年度の一般財団法人卜深庵の事業報告と決算が無事に承認されました。
平素より、会員はじめ理事・評議員・多くの方々のご支援、ご鞭撻により卜深庵の運営がなされていますことに厚く感謝申し上げます。

 本年度の事業としまして、去る4月3日に京都山科大石神社におきまして恒例の桜祭掛釜を担当しました。同じく恒例の四天王寺聖霊会掛釜を4月22日に同寺で担当しました。5月8日京都平安神宮月釜澄心会掛釜、同17日湊川神社献茶祭掛釜。6月3日には恒例の比叡山延暦寺大講堂で営まれます伝教大師御影供献茶奉仕をそれぞれ滞りなく終えることができました。
 5月14日には大阪狭山市の帝塚山学院の創立100年・開学50周年記念「こだはら大茶会&講演会」を卜深庵が後援し、講演会では私が「帝塚山学院大学の茶室好逑庵と木津宗泉 」の演題でお話をしました。同学院の創設者の一人である山本藤助氏の北畠の約4000坪の敷地に、豪壮な客殿はじめ数棟に分かれた主屋、茶室、土蔵などが延400坪とその広大な庭園を木津家3代聿斎が設計・建築をしています。当時、大阪でも有数の大邸宅でした。そして昭和47年(1972)に藤助氏の孫山本アヤ氏により茶室「好逑庵」と燈籠・庭石の一部が帝塚山学院大学狭山キャンパスに移築され今日に至っています(卜深庵点描参照)。当日は好逑庵に道具を組し、正木美術館の館蔵品が床に飾られた広間での呈茶、また卜深庵所蔵の段ボール茶室「忘露庵」の見学・呈茶、同大学武者小路千家流茶道部の野点席で参会者にお茶が出されました。また、同講演会では家元不徹斎宗匠のお話もあり、宗匠にも親しくお茶を楽しんで頂きました。

 そして7月21日に韓国釜山東莱の旧迫間房太郎別邸の調査・撮影に有志20名で赴きました。同邸は聿斎が今から107年前の明治42年(1909)に渡韓して設計・建築した物件です。敷地面積3000坪、建坪200坪の物件で、聿斎の現存する最古の作例であり、海外における最大級の日本建築・庭園です。戦後、数奇な運命をたどり、この8月に解体・または大改修されるとの情報を得、急遽、協力者を募り調査・撮影をしました。大半は顔もあわせたことのない者同士で、志を同じくする有志で構成されるすばらしい調査団となりました。改めて人の縁というもののありがたさをこの上もなく感じることのできた貴重な体験でした。
当日、調査に許された時間は4時間弱で、広大な邸宅の調査にそれぞれの能力を最大限に発揮し、20名が一丸となって大いなる成果を上げました。
この記録は本年11月初旬に北川フラム氏の現代企画社から本として上梓する予定です。

 今年度の事業として、来る9月19日に恒例の南宗寺彼岸会掛釜、10月19日に平安神宮献茶祭過掛釜、11月13日に御香宮神社月釜会掛釜の担当があります。
また、卜深庵主催ではありませんが、卜翠会会員有志により立ち上げられました「松風の会」の主催になる野点の会が活発に活動をしてくれています。
 このように多くの心ある方々のご支援・ご協力により、今回の迫間房太郎邸の調査はじめ卜深庵の維持・活動が行われています。各位に対して衷心より御礼申し上げますとともに、より一層のご厚情をお願い申し上げます。                   

(理事長・桜斎 七代木津宗詮)



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