木津宗詮2023年11月14日読了時間: 1分時雨大伴池主 神無月時雨にあへるもみち葉の 吹かば散りなむ風のまにまに 一天にわかにかき曇り、激しい時雨が降りました。はるか松ヶ崎から銀閣寺にかけて、欠けることのない見事な虹がかかっています。
木津宗詮2023年11月14日読了時間: 1分吹寄吹寄とはさまざまな木の葉が風でひとところに吹き寄せられるさまに見立てていうことばです。 また、色づいた木の葉などをかたどった落雁(らくがん)・雲平(うんぺい)・有平糖(アルヘイとう)などの干菓子を取り合わせ、いかにも風に吹き寄せられた風情で菓子器に盛ったもにも使います。...
木津宗詮2023年11月8日読了時間: 1分11月8日 稽古場の床本日の祇園稽古場の床は、香川景樹の紅葉二首詠草です。 十月十九日東福寺に もうてる道にて客 よりみせる二首の題 景樹 紅葉所々 もみち葉は野にも山にも 盛にてまつ散ものは 心なりけり ゝゝ欲散 紅葉はゝ風のわたるも あやふきを天にかよへる 橋の名もうし...
木津宗詮2023年11月7日読了時間: 1分玉津島神社玉津島神社の披講無事に終えることができました。和歌三神の一柱で衣通姫命がご祭神です。冷泉家では俊成卿以来、歴代のご信仰が格別厚いとのことです。披講の講師を勤めさせていただいたことはまことに名誉なことであり、本当にありがたいことと感謝しています。ますますの歌道の上達を祈念して...
木津宗詮2023年10月31日読了時間: 1分江口君堂江口は大阪市東淀川区にある地名で、淀川の河口部分にあたり、神崎の津とともに海上交通の要衝として古くからにぎわった所です。江口の遊女は室津の花漆と同じく、「遊女長者」と呼ばれるほどの地位にいました。 四天王寺に参詣する西行法師が、江口を通った時ににわか雨にあい仮の宿りを遊女に...
木津宗詮2023年10月30日読了時間: 3分10月23日 稽古場の床1本日は旧暦9月9日重陽です。重陽は菊の節句として菊の着せ綿や、菊酒などで一般的です。 重陽では登高(とうこう)という厄払いも行われました。登高とは重陽の日に山に登って災厄をはらう行事をいいます。そのはじめは中国清代に書かれた北京の年中行事を記した『燕京歳時記』に、...
木津宗詮2023年10月30日読了時間: 1分10月24日 稽古場の床三重県の某団体の職員の稽古でした。床に大綱宗彦の白紙賛。前に秋明菊と時鳥を萩焼の花入に入れ、書院に紙釜敷に砧香合を飾りました。 したしきも うとく 成ゆく 人の世に 月はいくよの 秋も かはらし 大綱 いくら親しくても、歳月やおかれている立場により人は疎遠になります。これも...
木津宗詮2023年10月23日読了時間: 2分10月22日 稽古場の床本日の掛物は、松平不昧公の賛になる狩野伊川院の槙立山を掛けました。名残ということで宗全籠に秋草種々をいれました。 淋しさハその色としも なかりけり槙立山の 秋の夕くれ(印) この歌の作者寂蓮は。淋しさというのは特にその色で感じるわけではなく、槙が立つ山の秋の夕暮れに感じると...
木津宗詮2023年10月23日読了時間: 3分10月23日 稽古場の床本日は旧暦9月9日重陽です。重陽は菊の節句として菊の着せ綿や、菊酒などで一般的です。 重陽では登高(とうこう)という厄払いも行われました。登高とは重陽の日に山に登って災厄をはらう行事をいいます。そのはじめは中国清代に書かれた北京の年中行事を記した『燕京歳時記』に、...
木津宗詮2023年10月20日読了時間: 1分10月18日 稽古場の床本日の稽古の床は、深草の元政の詠草です。花は高砂芙蓉と秋明菊、段菊、萩、薮茗荷、水引草、苅萱を魚籠に入れました。 元政 朽はてねなをおりおりに問人の こころにかゝるたにの柴橋
木津宗詮2023年10月20日読了時間: 1分10月17日 稽古場の床家元の稽古のあと春日大社職員の稽古。冷泉為全(ためたけ)の賛になる岩倉具選(ともかず)画になる小男鹿図を掛けました。竹一重切花入に野紺菊と水引草を入れました。 霧はれてたちとさやかに 小男鹿乃の月や待らむ 夕ふくれの色 霧が晴れて、月を待つ小男鹿の立つ姿があらわになった夕ぐ...
木津宗詮2023年10月14日読了時間: 2分鴫立つ澤武者小路千家13代有隣斎宗匠の筆になる短冊です。 こゝろなきみにもあはれハしられけり しきたつさわのあきのゆふくれ 宗屋書 『新古今和歌集』所収の「秋の夕暮れ」を詠んだ「三夕の歌」として知られる西行の和歌です。 浮世を捨てて執着の念から遠いはずの出家の身である西行。いくら修...
木津宗詮2023年10月13日読了時間: 1分小男鹿の声江戸時代後期の冷泉家18代目当主の為則(ためのり)の月画賛です。 尹尚のすむ庵は鹿を 聞て秋しつかなるたのしみを さそとおもひて 山かけのつま恋きゝてすむ庵の あきもかそへんさをしかのこゑ 為則 毎年毎年、秋が訪れるたびに小牡鹿の嬬恋の声を楽しみとする尹尚。空は晴れ渡り月影...
木津宗詮2023年10月12日読了時間: 1分長〜い!賀茂季鷹の鶴の画賛です。 長 季鷹戯書 首長く口はしなかく 足長く よはひも長く よく揃ひ 鶴 首長く口ばし長く足長く 齢も長くよく揃ひ鶴 この一幅はわたしの大好きなものの一つです。こんな気の利いた画賛はほかの歌人にあまり例がないと思います。常々、わたしは季鷹の作品があまり...
木津宗詮2023年10月6日読了時間: 1分10月2日 稽古場の床稽古場の床に小堀遠州筆になる冷泉為頼宛書状をかけました。貴船菊と白萩、野地菊、段菊、縞蘆をを11代一指斎好みの昔籠に。この籠は7代直斎の百回忌の記念に一指斎が好み百個造らせたものです。 内々御契約申候、拙者一首一紙 書進之也 恐惶謹言 月前暁鐘...
木津宗詮2023年10月2日読了時間: 2分美意識足利義政が所持し、村田珠光、古市播磨守、松本珠報(しゅほう)を経て松屋源三郎家に代々伝えられたことから「松屋」と銘をつけられた肩衝茶入がいわゆる「松屋肩衝」です。「初花」「油屋」とともに大名物唐物茶入の代表として、古来尊重されて来ました。ちなみに松本珠報が所持していたことか...
木津宗詮2023年9月28日読了時間: 1分蔦の細道駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人に逢はぬなりけり 『伊勢物語』の業平東下りで、静岡の宇津ノ谷峠で詠まれた歌です。「蔦の細道」を通って峠を超えました。蔦の細道は平瀬家旧蔵の仁清の茶碗が有名です。それを元に先先代家元愈好斎が襲名の時に永楽妙全で好んだ茶碗で馴染みが深いで...
木津宗詮2023年9月27日読了時間: 2分よどむ月夜とゝもに 棹さすかたへ なかれつゝ とむれは よとむ 水の月哉 千蔭 江戸中期から後期にかけての歌人で国学者加藤千蔭の清流月影画賛です。 加藤千蔭は幕府の与力で歌人の加藤枝直(えなお)の三男です。本姓は橘氏。朮園(うけらぞの)・芳宜園(ほうぎ...
木津宗詮2023年9月25日読了時間: 2分秋の七草秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 『万葉集』巻八 萩の花 尾花(おばな)葛花(くずばな)瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがほ)の花 『万葉集』巻八...
木津宗詮2023年9月24日読了時間: 1分9月20日稽古場の床祇園の稽古場の床は、江戸時代後期の公家千種有功の「擣衣」です。花は木槿と段菊、秋明菊、金水引草、萩、矢筈薄を手付籠にいれました。 擣衣 正三位有功 やまかつのあさの ころもハたゝひとつ うつもしもよを なとかさぬら む...