木津宗詮2023年9月24日読了時間: 1分9月21日稽古場の床霊鑑寺宗栄女王の「月」懐紙を床に掛けました。その前に手付籠置き秋草種々を入れました。 いつくにも今宵の 月をみる人は 心やおなし空に すむらむ (印) どれほど離れていても、どこで眺めていても、今宵の月を見る人の心は、濁りのない澄みわたる清らか...
木津宗詮2023年9月11日読了時間: 1分心やおなじいつくにも今宵の 月をみる人は 心やおなし空に すむらむ (印) 霊鑑寺宗栄女王の「月」懐紙です。 激しい夕立のあとの今宵の月は、格別美しい光を煌々と放っています。夕食後、妻と二人で吉田山山頂に月を眺めに行きました。昼間の塵や芥が雨で流され、澄み切った中空に昇る月。未だ新型...
木津宗詮2023年9月8日読了時間: 1分9月6日 稽古場の床湊川神社職員の稽古。香川景樹の短冊「鈴虫」を掛けました。蛇籠に秋海棠と水引草、矢筈薄を入れました。 鈴虫 狩くれし小鷹のすゝや露草の あたりにそれと響くこゑ哉 景樹 一日中鷹狩にあけくれて小鷹の鈴の音が聞こえます。そして露草の辺りからまちがいなく鈴虫の声も聞こえてきました。...
木津宗詮2023年9月3日読了時間: 1分瀬見の小川石川や瀬見のをがはの清ければ 月も流れを尋ねてぞ澄む 鴨長明 瀬見の小川(蝉の小川)は、下鴨神社(賀茂御祖神社)の鎮座する糺ノ森の中を流れる小川です。 本日の稽古に使った茶碗です。「瀬戸唐津茶碗 セミの小川」と2代住山楊甫が箱書をしています。...
木津宗詮2023年8月25日読了時間: 1分乞巧奠8月22日は旧暦七月七日七夕でした。冷泉家の乞巧奠のお手伝いを今年もさせていただきました。かれこれもう30年余りになります。今夜は「流れの座」といって、当日の参会者による当座の歌会です。歌の題は、「七夕(しっせき)」が頭につく別々の題です。男性と女性が向かい合って座り、その...
木津宗詮2023年8月25日読了時間: 1分8月24日 稽古場の床昨日は七夕の翌日でした。六日の菖蒲ではないですが、稽古で飛鳥井雅威賛になる土佐光貞の梶鞠図を掛けました。 幾千世の秋も かはらし 天河 こよひ あふせの 庭の梶鞠 雅威 今年も冷泉家の乞巧奠で流れの座で歌を詠みました。今年の乞巧奠はかつてない暑さでした。初秋の涼風も熱風とな...
木津宗詮2023年8月19日読了時間: 1分8月16日の稽古場の床今日の稽古の掛物は江戸初期の公卿飛鳥井雅章(あすかい・まさあき)の短冊「夏草」です。花は芙蓉と矢筈薄をタイ土産の籠に入れました。 夏草 しけるとてはらひし庭の夏草は なへての秋の花にをくれむ 雅章 生い茂るので切り払うけれども、夏草は次から次へと生えてくるので秋の草花よりも...
木津宗詮2023年8月15日読了時間: 2分念仏往生澄覚、すなわち冷泉為村の「念仏往生」の短冊です。 念仏往生 弥陀佛導引しるへ一すちに まよはさりとの誓たのもし 澄覚 阿弥陀如来のお導きを一筋に信じれば、迷わず極楽往生できるという如来の誓いが頼もしい。 阿弥陀如来は、梵名「アミターバ」といい、それを「阿弥陀」と音写し、「阿...
木津宗詮2023年8月8日読了時間: 1分立秋秋立つ日よめる 秋きぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる 藤原敏行 藤原敏行が立秋の日に詠んだ歌です。視覚と聴覚とを対比させて季節の推移に気づかせてくれ、シンプルで透明感のある理知的な歌です。「目には」「音にぞ」という対比が、現実感があり、初秋のさやかな涼...
木津宗詮2023年8月5日読了時間: 1分8月4日 フィールドワークの茶席の床京都外国語大学オープンキャンパスのフィールドワークの茶席の床です。大綱和尚の白紙賛を掛け、タイ土産の鉈籠に白木槿と金水引。琵琶床に藤岡研斎作乾漆鬼灯香合を荒磯羅帛紗を敷きました。 すゝしさハたくひも更に夏山の 峯より落る音なしの瀧 八十六翁大綱...
木津宗詮2023年8月4日読了時間: 3分賀茂茄子茄子には小切茄子から 米茄子などのような丸い茄子・千両茄子・水茄子・長茄子(通称)などたくさんの種類があります。茄子は長ければ長いほど美味しいのだそうです。小さな茄子も50センチにもなる長茄子まで種の数はほとんど同じです。だから長くて大きなものほど種と肉の割合いが種のほうが...
木津宗詮2023年8月3日読了時間: 4分8月2日 稽古場の床昨夜の稽古の床は平瀬露香筆になる短冊「夏月易明」。花は時計草を瓢籠にいれました。 夏月易明 うたゝねに其すゝしさをみる程も 月におくれて覚る夢哉 貞英 夏の月が涼しい光を放ちます。夏の夜は短く、うたた寝をしている間に夜が明けてしまい、あっという間に夢から覚めてしまいます。...
木津宗詮2023年8月3日読了時間: 2分夏の月江戸時代後期の公家芝山持豊(もちとよ)の短冊「夏月」です。 夏月 寝て明かす人やなからん夏の夜は 涼しき月の影に浮かれて 夏の夜を寝て明かす人なんかいないでしょう。涼しい月の光に心も浮かれるから。 通常、和歌では単に「月」という題は秋の月のことです。他の季節の月は「夏月」と...
木津宗詮2023年8月2日読了時間: 2分秋ちかく梨木祐為(なしのきすけため)の難波潟の自画賛です。 祐為賛(印) あきちかく 成にけらしも 難波かた 入江のほたる かすそすく なき 梨木祐為は 元文5年(1740)下賀茂神社祠官の子として生まれ、鴨祐為とも称しました。正四位下上総介。幼少の頃より和歌を好み、冷泉為村の門に...
木津宗詮2023年8月1日読了時間: 3分朝顔今朝、子どもがプランタンに種を蒔いた朝顔が一輪咲きました。猛暑の日々が続きますが朝露を受けてまことに清楚に咲いています。 朝顔の花名の由来は、花を咲かせるのが朝で、昼には花がしぼんでしまう姿を「朝の美人の顔」と表し、「朝の容花(かおばな)」のからきているとのことです。朝顔は...
木津宗詮2023年7月18日読了時間: 2分朝もやを切り払う榊原文翠(さかきばら ぶんすい)の長刀鉾の画賛です。 朝もやを きりはらひてや す丶むらむ 長刀鉾の とく ゆする なり 榊原文翠は 享和3年 (803に) 江戸に幕臣榊原長基の子として生まれています。幼名は芳太郎、名は長敏、別号に佳友・鶴松翁・気揚山人などがあります、はじ...
木津宗詮2023年7月2日読了時間: 1分7月2日 稽古場の床本日の稽古は、木津家三代聿斎宗泉の鷺画讃です。タイのカンチャナブリで求めた籠を花入に見立て、紫陽花・金糸梅・七変化・百日紅・薄を入れました。 浮雲のくらきかさなる絶間なく 日影も見えぬ五月雨のそら 聿斎(花押) 稽古場からはるか彼方に雲の間から富士山が望むことができます。今...
木津宗詮2023年7月2日読了時間: 2分ほとゝきす今回の稽古では、杉木普斎の作になる竹茶杓「ほとゝきす(保登ゝ幾須)」を用いています。箱には「有麦隠士(花押)」と認められています。 ホトトギス・時鳥は夏の鳥で、古来、旧暦4月立夏にやってくる鳥とされていました。そのけたたましい鳴声は、「キョッキョッ...