木津宗詮2023年3月6日読了時間: 1分3月3日 稽古場の床春日大社の職員の稽古に有栖川宮7代韶仁親王の短冊を掛けました。 呉竹のよゝのみやこと聞からに きみは千とせのうたがひもなし 紫式部の曽祖父藤原兼輔の和歌です。花は加茂本阿弥椿と山茱萸を竹一重切花入に入れました。 『大和物語』に、伊勢のくににさきの斎宮おはしましけるときに、つ...
木津宗詮2023年3月1日読了時間: 1分述懐述懐とは心の中の 思いをのべることで和歌の題の一つです。冷泉家では「じゅっかい」と読まず「しゅっかい」と読みます。世の中というものは憂いのあるもので浮世に過ごす身の不遇をいかに過ごせば良いか、心に思うことは通じないなどと詠みます。...
木津宗詮2023年2月26日読了時間: 2分法楽大阪府島本町の水無瀬神宮は、承久の乱に敗れて隠岐に流された後鳥羽天皇の離宮水無瀬殿の跡に建立された神社です。隠岐で崩御した後鳥羽上皇の遺勅に基づき、水無瀬信成・親成親子が離宮の旧跡に御影堂を建立し、上皇を祀ったことに始まります。仏式で祀られていましたが明治になり神式に改めら...
木津宗詮2023年2月24日読了時間: 1分2月24日 稽古場の床鈴鹿の椿大神社の稽古でした。床に幕末・明治の公家正親町三條実徳の短冊「椿葉契深」を掛けました。 椿葉契久 呉竹の園生に根さす玉つはき もろ心にも千世をふぬらし 實徳 「玉椿」は椿の美称です。椿は長寿の常盤木とされ、永遠に瑞々しく緑をたたえた木としてめでたいものとして歌に詠ま...
木津宗詮2023年2月22日読了時間: 1分2月22日 稽古場の床幕末・明治の公家正親町三條実徳の短冊「椿葉契深」です。 椿葉契久 呉竹の園生に根さす玉つはき もろ心にも千世をふぬらし 實徳 呉竹が植えられた庭に根をしっかりと張った椿。私の心も千代にわたりあなたと同じです。 「玉椿」は椿の美称です。椿は長寿の常盤木とされ、永遠に瑞々しく緑...
木津宗詮2023年2月21日読了時間: 1分天の岩戸戦国時代の公卿近衛尚通の短冊です。 久かたの天の岩戸のむかしより 明れハかすむ春ハきにけり 尚通 立春で春が立ったというのに、また真冬に逆戻りです。明日からは再び暖かくなるとのこと。楽しみにしています。岩戸が再び閉じないようにしっかりと蓋をしてしめ縄を何重にも張ってください。
木津宗詮2023年2月18日読了時間: 1分2月18日 稽古場の床幕末の大徳寺住持大綱宗彦賛、同じく幕末から明治初期にかけて京都で活躍した絵師塩川文麒麟画になる田家梅図です。白玉椿と三千年椿・水仙を粉引瓢形花入に入れました。 かくはしき人や住らん埋火の 空たきならぬ梅の下庵 大綱 百花に先駆けて春の訪れを知らせる梅の花になぞらえた「梅が香...
木津宗詮2023年2月17日読了時間: 1分2月16日 稽古場の床 2床に江戸時代中期の国学者富士谷御杖(ふじたにみつえ)二首詠草です。 年かな こりてやくれし こりに いのこりに いはかねのゆきの朝こり としの くれによセる 御杖 けり きに 春は 心さたまる 花ミむと よしの丶山に 三よし野の 年の始めに...
木津宗詮2023年2月16日読了時間: 2分軒端の梅私の住まいする吉田山の西側に東北院と云う小さなお寺があります。藤原道長の娘上東門院(藤原彰子)の発願により、道長が建立した法成寺の東北の一郭に建立されたことから「東北院」と呼ばれました。その後、応仁の乱で炎上し現在地に移転しました。...
木津宗詮2023年2月14日読了時間: 2分バレンタインデー江戸時代中期の公家で関白、太政大臣等を歴任した近衛内前(うちさき)の短冊「寄関恋(せきのこいによせる)」です。 寄関恋 月日のみつれなくみえてうき中に なをもへたつる逢坂のせき 内前 この短冊は組題といって五十首・百首・千首の歌を詠むとき、五十題・百題・千題の題を集めてひと...
木津宗詮2023年2月4日読了時間: 1分春立つ江戸時代中期の公卿風早實積(かざはやさねつみ)筆「後光明天皇発句写」です。例年、立春の日に床に掛ける軸です。 月の秋花の春たつあしたかな 壬申元日書(印) 今日は二十四節気ののひとつ「立春」です。『暦便覧』には「春の気立つを以って也」と記されていて春のはじめの日です。立春は...
木津宗詮2023年1月29日読了時間: 1分旭日3代聿斎宗泉の「旭日画賛」です。 静なる 御代の すかたか はても なく ゆたけき 海に 朝日 かゝよふ 静かに治まる御代の姿が果てしなく豊かな海の上に朝日がきらきらと輝いています。 今年一年がそのような年であってほしいです。いや永遠にそうあってもらいたいです。
木津宗詮2023年1月28日読了時間: 2分逢坂山初釜で桂盆に載せて書院に飾った小堀宗中の箱書きになる加茂川石「逢坂山」です。箱の甲に「逢坂山 加茂川石」内側に、 君が代に逢坂山の石清水木隠れたりと思ひけるかな と記された色紙が貼られています。そして石の裏側には金泥で「逢坂山 政廣」と認められています。...
木津宗詮2023年1月25日読了時間: 1分1月24日 稽古場の床江戸中期の公家で冷泉家17代当主冷泉為章筆になる源俊頼の和歌を掛けました。花は巌根絞りと梅を唐銅鶴首に、柳釘には黒田宗傳作の青竹尺八花入に綰柳を入れました。書院に当代大樋長左衛門の兎香合を飾りました。 神代よりひさしかれとやうこきなき いわねにまつのたねをうへきむ
木津宗詮2023年1月23日読了時間: 2分伊達千広幕末の紀州藩士で国学者、明治の元勲陸奥宗光の父である伊達千広(宗広)の懐紙「冨士」です。 冨士 自得居士 千廣 不二かねの 雪くれなゐに にほふ也 今や朝日の 海を出らむ 富士山の峰の雪が海から上った朝日に照らされて紅に美しく映えている光景を詠んでいます。かつて三保の松原で...
木津宗詮2023年1月5日読了時間: 2分都祝言上 通理 御會始 都祝言 〵 君を祝ふ都の春にうつる日の なかき世かけてさしも仰かむ 仕ふへきいはふ心もせきたてゝ かすむやはなの都路の春 江戸後期の公家久世通理(みちあや)の御会始(ごかいはじめ)の詠草です。 御会始とは今日の宮中歌会始めの儀のことです。あらかじめ暮れに題...
木津宗詮2023年1月4日読了時間: 2分鶴古くから中国では丹頂が親しまれ愛されてきた経緯があることから、かって国鳥に選定しようとしましたが、丹頂の学名、英名ともに「日本の鶴」を意味することから、そのため「中国の国鳥としてはふさわしくない」という批判が相次ぎ、政府もこれを受けて決定をためらっているそうです。また同じく...
木津宗詮2022年11月27日読了時間: 1分有明の空有明の空に昇る月のことをいいます。夜が明けかけても空に残っている月。本来は十六夜以降の月の総称で旧暦16日以後の月をさします。別名「二十日余りの月」ともいいます。 秋霜 ことわりに過きても寒し長月の 有明の月にしもやかゝらん 幕末の歌人香川景樹の短冊「秋霜」てす。...
木津宗詮2022年10月29日読了時間: 2分八十島かけてわたの原やそしまかけてこぎいでぬと 人にはつげよあまのつり舟 『百人一首』で有名な小野篁の歌です。『古今和歌集』の羇旅で、詞書に。 おきのくににながされける時に、ふねにのりていでたつとて、京なる人のもとにつかはしける とあります。...