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執筆者の写真木津宗詮

雲錦(うんきん)

 「雲錦」とは、満開の桜を白雲に、鮮やかに色づいた紅葉を錦織に見立てた言葉です。 尾形乾山の色絵紅葉文透彫反鉢はじめ、茶碗や鉢に描かれ、雲錦と呼ぶ京焼の代表的なデザインの一つになっています。 



 四季の移ろいのなか、特に春と秋はもっとも美しい風情の季節です。外国に行くたびに日本に生まれたことを有り難く、そして誇りに思うとともにとても幸せなことと改めて実感します。  私は自分の斎号が「桜斎」なので桜が一番好きな花です。毎年、桜の季節になると浮かれて時間の許す限り桜を眺めています。先日、イギリスに訪れ樹々が茶色と黄色ばかり、日本の「もみじ」の紅葉がいかに美しいかを改めて認識しました。そこでこの秋は多忙な時間の合間を縫って可能な限り紅葉・黄葉を見るようにしています。 








この軸は私の大好きなものの一つです。幕末の冷泉家の当主、冷泉為泰(れいぜいためやす)の和歌。


  春秋に飽かぬは霞む花盛り   霧を色どる木々の紅葉ば


「花(桜)」と「紅葉(もみじ)」の二文字大きく書いて強調しています。これはこの二つをテーマ、すなわち題としている詠んだ和歌です。毎年毎年春と秋が訪れると飽きないものがあります。それは霞がかかった桜の花盛り。そして霧を彩る真っ赤に紅葉したもみじです。 なお、冷泉家の歴代の当主は「定家様」と呼ばれる独特の筆跡で、この軸の為泰は特に個性のある書体です。

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