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執筆者の写真木津宗詮

11月8日 稽古場の床

本日の祇園稽古場の床は、香川景樹の紅葉二首詠草です。

 十月十九日東福寺に

 もうてる道にて客

 よりみせる二首の題

        景樹

   紅葉所々

もみち葉は野にも山にも

盛にてまつ散ものは

心なりけり

   ゝゝ欲散

紅葉はゝ風のわたるも

あやふきを天にかよへる

橋の名もうし

 古来、東福寺は紅葉の名所としてつとに有名です。景樹は紅葉狩に訪れ、同行の人から二首の題を出されて歌を詠んだようです。

一首目は紅葉した楓ではなく、それを見る人の心の危うさを詠んでいます。二首目は、名前の通り天にも通じる境内を流れる渓谷洗玉澗を吹き抜ける風が無情にも紅葉を散らし、「通天」の名前自体がわずらわしいと、洗玉澗に架かる「通天橋」を上手に詠み込んでいます。


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