初夢を見るのはもともと節分の晩とされていました。上方ではその風習が残り、のちに江戸では正月二日の晩に見る夢を初夢とするようになったということです。明治以降は元日から二日とするのがより広まったそうです。初夢を見る前夜、枕の下に「宝船」の絵を敷いて寝ると良い夢が見れるという風習がありました。七福神が帆船に珊瑚・金銀・宝石など、様々な宝物が積み込まれ、その帆には「獏」の字が書かれています。そして、
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな
永き世の 遠の眠りの みな目ざめ 波乗り船の 音のよきかな
の回文の歌が記されています。
むかしは禁裏や公家・神社は板木を持っていてそれぞれが紙に刷っていました。そして今でも一部の京都の神社で宝船の版画が売られています。
武者小路千家7代直斎の「宝船」画賛です。
一見バナナかエンドウ豆のようなものの右上に、「宝」と着賛しただけのこの上もないシンプルな宝船です。それにしても宝船をここまで簡略化することができるのかと関心しています。これを見て宝船だとわかるところに直斎の真骨頂を見ることができます。
かつて宝船を集めていました。今はもう擦られていないものもあります。合わせてごらんください。
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