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執筆者の写真木津宗詮

新米

子どもの頃に母親が食事の時に「今日は新米やで」と特に言われた時、なにかとても嬉しく、美味しいご飯を食べたことを思い出します。「古米」という言葉を久しく耳にしなくなりました。美味しいコメのなる稲の品種改良が進み、またその保存の技術が向上し、また美味しいご飯を炊くことのできる炊飯器が作られるようになり年中美味しいご飯を食べれるようになりました。

新米とはその年に収穫された米のことです。その前年に収穫された米が古米。前々年に収穫された米は古古米、そこから年数が経つごとに古古古古米、古古古古古米と「古」の数を収穫した年から現在までの年数分を重ねて呼ぶそうです。新米と古米の違いは、ご飯にすると硬くなり、粘りが少ないツヤがなく綺麗な白色でなく、特有の臭みが古米にはあります。ただし、寿司屋では酢の浸透率を上げるために古米をブレンドしたり、チャーハンやカレーといった料理の種類によっては粘り気の少ない古米の方が相性が良い場合もあります。

香川景樹の詠草「新嘗祭(にいなめさい)」です。

  新嘗祭

明ぬとや

  日影のかつら

    赤根さ

       し

 ほの〳〵匂ふ

    雲のうへ

       かな

        景樹


新嘗祭とは稲の収穫を祝い,翌年の豊穣を祈願する古くからの祭です。宮中では天皇自らが宮中三殿の近くにある神嘉殿で新穀を天神、地祇にすすめ、その恩恵を謝し,また,自らも食する祭儀です。天皇は天照大御神の子孫ということで初穂を食べることにより新たな力を得て、翌年の豊穣が約束されるという意味があります。以前は新嘗祭で神に新米を供えて人は初めて新米を食べることができるとされていました。

新嘗祭は古くは旧暦11月の中の卯の日に行われていましたが、明治6年(1873)以降は11月23日と定めて祭日としました。昭和23年(1948)からは「勤労感謝の日」となり、国民の祝日となっています。

「日陰の鬘」とはシダの一種で、つる性で、常緑の草です。深緑の色は美しく、変色しないということで物忌みのしるしとして神事に使われてます。「あかねさし」は「茜さす」のことで、赤い色がさして、美しく照り輝くことから「日」「昼」「紫」「君」などにかかる枕詞です。真夜中に行われる新嘗祭が、かすかに夜明けの趣の感じる中、雲の上にその神聖さを漂わせているというまことにゆかしい和歌です。

年中美味しい米を食べることができる時代になり本当にありがたいことです。ただし、今の若いい人たちには子どもの頃に食べたあの新米の美味しさがわからないのがなにか気の毒に思います。技術が向上することにより失ったものがあるのがとても皮肉に思えてなりません!

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