一啜斎作になる無節茶杓「はまおき」です。
「はまおき」とは浜荻のことです。「嘉応二年住吉社歌合」の俊成の判詞に、
伊勢しまには、はまをぎと名づくれど、難波わたりにはあしとのみいひ
とあり、伊勢や志摩では「浜荻」といい、難波あたりでは「葦・芦・葭」といったとあります。また物の名や、風俗・習慣などは、土地によって違うことのたとえとして「難波の葦は伊勢の浜荻」という言葉もあります。
筒書は、
(花押) はまおき 宗守
箱書は、
無節茶杓 号葭ト 自作渓閑斎
筒の〆は花押で、一啜斎の別号「渓閑斎」と認め、深い樋の部分を薄く削り櫂先を矯めた珍しい無節の茶杓です。
神風の伊勢の浜荻折り伏せて
旅寝やすらむ荒き浜べに
よみ人しらず
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