桜の花のついた枝にしばしばカラスがとまっているのを目にします。カラスは美しい花を眺めているのか?それとも花を食べているのか?
カラスには前者のような風流を解する心は到底もっているとは思われません。間違いなく後者でしょう。メジロのように花の蜜を小さな嘴で吸うことのできないカラスはきっとあの大きな嘴で桜の花そのものを食べているのでしょう。だから花を損ねているのです。
ところが昔の人は、その憎むべきカラスが花のついた桜の枝にとまった構図の絵を描いています。花を損ねているのは十分にわかっていたはずです。それでもそれを描いているのは桜の季節にしばしば見かける光景であり、また、桜の花の白とカラスの黒の取り合わせを面白く感じたからなのでしょうか。先日、鴨川の満開の桜の樹に10羽以上が枝にとまっているのを見ました。確かに花を食べてました。
聿斎が着賛した上田耕甫の「桜花烏図」です。
めさむるや朝日ににほふ花のいろ
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