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執筆者の写真木津宗詮

ささがに

今しはとわびにしものをささがにの

衣にかかり我を頼むる


『古今和歌集』の恋の歌です。

「ささがに」とは形が小さい蟹(かに)に似ていることから蜘蛛の別名です。待ち人が訪れ来る前兆を人に示すといわれ、蜘蛛の糸のこともいいます。

この歌は、今はもう来ないだろうとつらい気持ちでいるものを、蜘蛛が衣に付いて自分に期待を持たせることだ。蜘蛛が衣に付くと待ち人が来るという言い伝えをもとにしているようです。「衣にかかる」ということから、蜘蛛の糸を指しているのかもしれません。

蜘蛛というと嫌われ者の代表のようですが、昔の人の蜘蛛にたいする思いは現代人とは全く反対で、いい印象の虫だったようです。



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