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執筆者の写真木津宗詮

土用の丑

今日は土用の丑の日です。土用は五行に由来する暦の雑節です。1年のうち不連続な4つの期間で、四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつのことです。特に土用というと一般的に夏の土用のことをいうようです。

夏の土用の時期は暑さが厳しく夏ばてをしやすい時期です。そこで昔から精の付くものを食べる習慣があり、土用蜆(しじみ)、土用餅(あんころ餅)、土用卵などの言葉が今も残っています。現在ののように土用に鰻を食べる習慣が一般化したきっかけは、夏場にうなぎが売れないので何とかしたいと近所のうなぎ屋から相談された江戸時代の発明家平賀源内が、当時、丑の日には「う」のつくものを食べると夏負けしないという言い伝えがあり、「本日、土用丑の日」と書いた張り紙を張り出させたところ、大繁盛したことがきっかけだと言われています。そして他のうなぎ屋も真似するようになったそうです。

なお、『万葉集』に大伴家持の歌に、

石麻呂(いはまろ)に我(わ)れ物(もの)申(まを)す夏痩(や)せによしといふものぞ鰻(むなぎ)捕(と)り食(め)せ

石麻呂さんに申し上げます、夏痩(や)せに良いそうですからうなぎを捕って食べてください。

精の付くものとしてはうなぎは奈良時代にも食べられていたようです。うなぎはビタミンA・Eや栄養が豊富なので、真夏や季節の変わり目に食べるのは理にかなっているそうです。

うなぎ(ニホンウナギ)の産卵場所がグアム島やマリアナ諸島の西側沖のマリアナ海嶺のスルガ海山付近だそうです。そこで生まれた鰻の稚魚であるシラスウナギは黒潮に乗って生息域の日本の沿岸にたどり着き川をさかのぼります。5年から10数年ほどかけて成熟し、その後は川を下り、産卵場へと向かいます。

海で産卵し、稚魚が川に入り、上流をめざす魚の例は他にもあります。多くの魚は流れに沿って上流へと向かいますが途中に滝があればそれ以上登ることができません。ところがうなぎは滝を登れるのだそうです。急流をさかのぼる遊泳力はありませんが、長い体で石の間に入り、あるいは濡れた石の面を這うようにして上流へと移動します。日光中禅寺湖の鰻は華厳滝を登ります。「うなぎの滝登り」まさに鯉も顔負けです!

ちなみに物価や株の相場などが急速に上昇していくことを例える「うなぎ登り」の語源の一つとされています。

三代聿斎宗泉が大阪の四条派の画家で社中だった上田耕甫のうなぎの絵に着賛した軸です。

ぬらぬらとうねりくねりて其の果ては

人を肥やすぞ終りなりけれ


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