葵
- 木津宗詮
- 2023年5月16日
- 読了時間: 2分
先代家元有隣斎の書付になる絵御本茶碗です。


絵御本は寛永期から元禄期にかけて、釜山の倭館で、日本人の監督下に作られたものだそうです。双葉の葵が青黒い線描きで描かれたわびた茶碗です。
いかなればその神山の葵草
としはふれども二葉なるらん
小侍従「葵をよめる 」です。どういうわけで賀茂の神様が降臨された神山の双葉葵は、どれほどの年月が経っても双葉のままなのだろうか。
その双葉の間に花が付き種子ができます。そしてその種から新たな葵が生まれます。葵は密集して繁茂していきます。その瑞々しさはこの上もなく美しいです。まさに子孫繁栄です。


うちの子どもたちも、いずれ私たちの元から離れてしまい、妻と二人だけになります。すでに高3と中3になりかつてのように親しく接することも無くなりました。両親の元であどけなく遊んでいたことがとても懐かしいです。いつまでもあの頃のままでいて欲しいという思いがあります。でもそんなことではいけないという思いもあります。まさに二律背反です。本当に子どもというものはどこまでも親を悩ます存在です。せめて両親は健康でいつまでも「としはふれども二葉なるらん 」でありたいものです。そんなことを妻と話しつつ、この茶碗を使って今朝の一服でお茶をいただきました。
今日は昨日天候の関係で順延となった葵祭の路頭の儀が執り行われます。上皇・上皇后両陛下が観覧されます。ただし勅使による社頭の儀は賀茂両社で執り行われています。雅な平安絵巻が都大路を繰り広げられます。
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