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執筆者の写真木津宗詮

8月16日の稽古場の床

今日の稽古の掛物は江戸初期の公卿飛鳥井雅章(あすかい・まさあき)の短冊「夏草」です。花は芙蓉と矢筈薄をタイ土産の籠に入れました。

夏草

しけるとてはらひし庭の夏草は

なへての秋の花にをくれむ 雅章

生い茂るので切り払うけれども、夏草は次から次へと生えてくるので秋の草花よりも長く生え続けるのです。

雅章は武家伝奏をつとめ、従一位・権大納言にいたります。飛鳥井家の家学である和歌に秀で、後水尾天皇朝の歌壇で活躍し、明暦3年(1657)には後水尾院から古今伝授を受けます。門弟に北村季吟がいます。また蹴鞠・書にも秀で、著書に『雅章卿詠草』『吉野紀行』『蹴鞠之記』などがあります。延宝7年(1679)に69歳で没しています。

通常、和歌では「草」といえば秋の題で、七草のことで、「草花」は秋を指します。「夏草」は生い茂る草を詠み、春草」は萌え出る緑の草を、「冬草」は色のない草原の枯れ草を詠むのが約束になっています。この雅章の和歌は夏草の生命力の強さを歌っています。

8日が立秋でしたが、今年は例年にない厳しい残暑です。それに負けずな力強く草が生い茂っています。

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