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執筆者の写真木津宗詮

心やおなじ

いつくにも今宵の

   月をみる人は

    心やおなし空に

      すむらむ

  (印)

霊鑑寺宗栄女王の「月」懐紙です。

激しい夕立のあとの今宵の月は、格別美しい光を煌々と放っています。夕食後、妻と二人で吉田山山頂に月を眺めに行きました。昼間の塵や芥が雨で流され、澄み切った中空に昇る月。未だ新型コロナが猛威を奮い、残暑も厳しい折柄です。

そんな中での例年の行事である昨夢会を無事に終えることができました。ほっとした心持ちで月明かりに照らされ虫のすだく中の散策でした。ふとこの軸を思い出し床に掛けて眺めました。

どれほど離れていても、どこで眺めていても、今宵の月を見る人の心は、濁りのない澄みわたる清らかな月の輝きと同じです。そして心を許す友が遥か遠くの離れた地にいても同じ月をいつまでも、いつまでもいつまでも、そして生涯にわたり眺めたいものです。


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