日本では鶏の鳴き声を「コケコッコー」と表現します。アメリカでは「コッカドゥードゥルドゥー」です。ためしに調べてみました。
イギリス トゥイートゥイートゥイー
スペイン クィクィリクィ
フランス コックェリコ
ポルトガル クィクィレクィ
イタリア ココリコ
ロシア クカレクー
中国 コーコーケー
韓国 コッキオー
北朝鮮 コッキョ クウクウ コーコ
インド(ヒンドスターニ語) クックーローロー
スリランカ(シンハニース) コークーアーコケーコケ
インドネシア クックルーユ
ニュージーランド(マオリ族) コケコッコ
学生時代に言語学の講義で動物の鳴き声の違いはその国の人の感性とその言葉の発音システムの違いが一番大きく起因していると習いました。英語の「r」や「th」などの発音は日本語にはない「音」です。フランス語ではは「鼻音」が頻繁に使われるそうです。日本語には50音でしか音を表現できません。それに一番近い音に聴こえる音(おん)をあてはめているだけなのです。これがすなわち感性なのでしょう。ただし実際には鶏は「コケコッコー」とも「コッカドゥードゥルドゥー」とも鳴いていません。人間の都合で誰かは不明ですが最初に「コケコッコー」と当てた人の主観が事の起こりです。子供の時に鶏はコケコッコーと鳴くと教えられて育ってきたからそう鳴いているように思っているだけなのです。考えようによっては物心もつかない間から、まさに大人たちに洗脳されてきた結果だといえます。
ちなみに遥か離れた所のニュージーランドのマオリ族の人たちが日本と同じく「コケコッコ」というのはまことに興味深いです。
写真は新井白石の軸で「鶏」の置き字です。
鶏を表すのに「国家孝行(コッケコウコウ)」という語を用いています。見事な機知に富んだ内容で、お気に入りの軸の一つです。月末に催す初釜の床に掛けようかと悩んでいます。
この軸から、白石の時代の日本でははたしかに鶏は「コケコッコー」と鳴いていたことがわかりますね。
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