四代中村深斎宗哲作になる「少庵好 夜桜棗」と七代中村貘斎宗哲作「明桜棗」です。
夜桜棗は見た目はただの黒塗棗ですが、角度を変えて光にかざすと黒く桜の花が浮かびます。そうしたことから夜桜棗と呼ばれています。吸い上げ蒔絵という技法が施されていて、中塗研立ての上に蒔絵を施し薄めに上塗りします。乾いたら文様を研ぎだして平らにし、さらに塗面に不乾漆で文様を描きます。するとその下に漆が吸い上げられて文様が隆起するそうです。
明桜棗は夜桜棗の図柄をそのまま描き溜塗仕上げとなっています。以前山中塗のある作家がこれを見て、夜桜棗は何度も見たけどこんな棗を初めてと言ってとても感心されたことごあります。そして写しを作るということでお貸ししたことがあります。
夜桜棗の写真を撮るのがとても難しく、桜の花を十分に見てもらうことができません。明桜棗とても珍しいとのことなので、対照的な夜桜棗と明桜棗を見てもらいます。なお、桜の時期に毎年使ってみなさんに喜んでいただいてます。
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