本日の床の掛物です。昭和24年の愈好斎の元旦試筆です。加茂本阿弥椿に臘梅を竹円窓花入に入れました。
帰馬于
華山之
陽
放牛于
桃林之
野
己丑歳元旦試筆
還暦 守(印)
馬を華山の陽(みなみ)に帰し、牛を桃林の野に放つ
この句の前には「偃武修文(武を偃(や)め文を修む」という一節があり、また続きに、「示天下弗服(天下に服せざるを示せり)」とあります。
殷の暴君桀(けつ)を討伐した周の武王は、武闘を終わらせ、文政によって天下を治めることとそ、戦争に用いる馬を河南の華山の南麓に帰らせ、牛を桃林という原野に放牧し、天下にもう戦いをしないことを示したという一文です。
愈好斎はあの悲惨な戦争を経験し、戦後の平和になった日本をこの試筆で表したのでしよう。
干支の掛物は新年にしばしば用います。また一年の終わりにその名残として使われることもあります。次にこの丑を掛けるのは12年後で、わたしは71際になっています。再び元気にこの軸を見ることができるかは定かではありません。そう思うとなんとも感慨深い思いに浸りました。
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