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執筆者の写真木津宗詮

第2回なんばん茶会

第2回なんば茶会を無事に終えることができました。10月というものの格別暑い中を多くの方にご参会いただきました。本当にありがとうございました。



めずらしい物とか珍奇な物のことを表す語に「なんば」という言葉があります。その語源は、室町末期から江戸時代にかけて、ベトナム・タイ・フィリピンなど、東南アジア地域をさしていった語「南蛮」です。そして「南蛮」は東南アジア方面から渡来したヨーロッパやスペイン・ポルトガルの文物や人物を指す語となりました。南蛮文化とか南蛮料理、南蛮菓子などと使われたり、茶の湯では中国南部から東南アジア一帯で造られた陶器や漆器・金属器・織物なども「南蛮」と呼ばれています。そして異風・奇異なものにまでかなりの多方面に使われ、「なんば」もそうした語のひとつです。



安土桃山時代の堺は東南アジアやポルトガル・スペインなどのヨーロッパなどとの南蛮貿易の交流拠点としてゆるぎない地位にありりました。そうした堺でわび茶の大成者千利休はじめその師である武野紹鷗・今井宗久・津田宗及等多くの茶人たちが活躍した地でもあります。当時の堺は広く東南アジアや中国・朝鮮・ヨーロッパなど海外から渡来した人々や文物や宗教・音楽などの文化と日本人とその文化が混在する「東洋のベニス」と海外から注目される自治都市でした。まさに国際色豊かな貿易自治都市であったのです。



 

 

その規模は東西2キロ、南北4キロ、江戸時代初期の人口は2万人ほどの小規模な都市でした。ところがそこに寺院は200ヶ寺もあり、「仏国土」と呼ばれるほど仏教が繁栄し、その中心的な寺院の一つであったのが南宗寺です。南宗寺は臨済宗の本流である京都大徳寺派の禅を今日に伝える古刹です。前出の千利休はじめ武野紹鷗等の茶人は南宗寺に参禅し「茶禅一如」の境地を深めました。南宗寺はまさに茶の湯発祥の地の一つといえます。





日本料理では、良い組み合わせ、料理の相性の良いことを「であいもの」といいます。そうした料理に「鴨なんば」があります。鴨がネギを背負ってくるの言葉の通り鴨とネギは最高の「であい物」です。「なんば」は南蛮人がネギを好み、転じてネギを入れた料理を指すようになったとか、ネギのことを「なんば」と呼ぶことからとか、江戸時代に大阪・難波がネギの産地であったなどがあります。いずれにしろ珍しい取り合わせでもあったことによる料理であろうと思っています。

新型コロナのために茶道を始め多くのアーティストの活動が困難な状況になりました。そうした中、この難局を乗り切るための試みとして、普段行われることのない珍しい取り合わせで、最高の「であいもの」をご満喫いただこうと南宗寺田島碩應老大師のおすすめにより「なんば茶会」を催しました.

今回は広間で南宗寺・大徳寺・堺・南蛮を、本堂広縁では中世庶民の茶であった「一服一銭」を再現して、古田織部作になる庭園を眺めつつお茶をお召し上がりいただく趣向としました。またかつて堺に来訪したポルトガル人が奏でていたであろうリュートの音をBGMに当時に想いを馳せていただきました。

このような機会と全山を開放してくださいました田島碩應老大師、ご参会のみなさん、ソプラノ歌手の有田亜希子様、リュート演奏の川崎益彦様、リュートとリコーダー演奏の真鍋武嗣様澄枝様ご夫妻、荷茶屋を製作してくださった竹芸家三原啓司様、 一服一銭席を担当してくださった象工社川崎泰大様・笠原剛様、陶芸家の吉田正和様、また水屋をはじめ受付等をお手伝いくださったみなさんに心より御礼申し上げます



会 記

時、十一月十四日

                     於、南宗寺

寄 付

床   紅毛船図

炭斗 バリ土産 菜籠 床本内張

羽箒 鶴 聿斎箱  

釻  利休所持写                 浄益造

釜敷 ペゲ刺繍

火箸 利休形 鉄


広間席

床 一渓宗什筆 一行 桃栗三年柿八年以年

 脇  沢庵筆 南宗寺宛書状 吹毛軒箱 

 々  天竺霊鷲山名石 巾着形 銘蛤石 

黄檗隠元持ち来たる 

花入 釣 南洋土人篠椰樹皮冑 聿斎箱        笙園補

 花  秋草種々

香合 ガルーダ羽      

 帛紗 サリー裂

釜  南宗寺常什 吹毛軒筆 円窓 夢       宗三郎造

 縁  唐銅鬼面                 宗三郎造

 先  愈好斎好 水透 有隣斎在判箱       小兵衛造

水指 オンギ 東哉造赤絵金蘭手蓋を添う

 棚  珠光好竹台子 普斎在判 宗旦所持 不審庵伝来 

茶器 紹鷗好 真塗大棗 直斎在判箱         宗哲造

 替  利休好 真塗大棗 直斎在判箱        春斎造

茶碗 青磁 千鳥蒔絵

 数  唐津 銘破芭蕉 不徹斎箱

茶杓 牧宗作 煤竹 銘不識 共筒共箱 

碧眼録百物語 第一則 

 蓋置 コカコーラ義山 三角ナプキンリング                       

 建水 南鐐仏器

菓子 憶昔                   京都鶴屋製

 器  VOC染付大皿

莨盆 李朝 刳抜盆

火入 明 染付 八角

煙管 直斎好 芋虫張           浄益造

莨入 ミャンマー土産 ホーステイル                             

香箸 花笑斎好 菊頭             宗三郎造


一服一銭

床  菅笠 吹毛軒筆 南北東西活路通

花入 神酒筒

 花 季のもの

釜  時代 霰

 風炉 時代 鬼面

水指 高取 瓶

 棚  荷ない茶屋

茶器 松尾神器写 大綱筆 和歌

 静かなる世を楽しみて天下

何国に煮るも宇治の若草         孫八造

茶碗 萩 銘国師 吹毛軒箱 大聖国師四百年遠忌記念

 替  黒織部 割高台

茶杓 吹毛軒 銘南宗寺 共筒共箱 伽藍上棟記念

 蓋置 竹

 建水 聿斎好 登別温泉風呂桶 聿斎画 松絵   一閑補

菓子 行雲流水               金谷正廣製

 莨盆 アタ丸籠

 火入 紅毛

 莨入 ベークライト 歌舞伎絵

煙管 細

香箸 利休好 鉄

以上





































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